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あたしの通うのは、田舎のとある公立高校。
一生懸命勉強して、塾も休まず行って、毎日先生に質問に行って。
やっと手に入れた合格をかみしめて、入学した。

あたしの名前は、橋本奈々(紗奈菜)。

だけどあたしは、やっぱり何をやってもトロかった。
あこがれてたダンス部は、だめだった。
あたしはからだがかたすぎる、おまけにリズム感もゼロ。
先輩がとっても格好よかったし、優しかったけど、迷惑になるから。
そのあと見学に行ったバレー部や女子サッカー部も同じような理由で帰った。
あたしには、素敵な学園生活なんて無理なのかもしれない。
そう思って、あたしは一週間ゆううつだった。

「あたしと一緒に来ない?」

1番最初に席替えして、前になった子。
その子は家が金持ちで、成績もそれなりだけど、うちのクラスではそんなに目立たない子。
彼女の名前は桂亜美(華沙和りえ)。
亜美はあたしの最初のともだちになった。
ちょうどそのときの後ろの席にいたのが、田中道子(芯守光季)。
ちょっとぼんやいりぎみな子だったけど、あたしたち三人でお弁当を食べるようになった。
楽しかった。

そんなとき、亜美がそう言ったのだ。
部活見学もそろそろ終わりの、4月30日。
あたしは少しどきどきしながら、亜美についていって愕然とする。
そこにいたのは、うちの高校で1番キツいとされている、女子陸上部だった。
そそくさと帰ろうとする道子をひっぱって、亜美はフェンスにかじりついた。
亜美の指差す方向を見ると、そこにいるのはひとりの先輩。
学校では人気が高いと有名な、北村里織(竹ノ美夜萌絵)先輩だ。
北村先輩はもうすでに入った新入部員のひとりに、同級生の高遠瑶子先輩(LTSP)と一緒に何か教えている。
リサーチ済みの亜美いわく、その子は新しくマネージャーとして入った上原ゆりこ(倉葉亜紗)だそうだ。
正直な話、亜美は北村先輩目当てらしい。
いやいや言っていた道子は、亜美に引きずられていく。
あたしもそのあとを追おうとして、ふとフェンス越しに誰かと目が合った。
サッカー部の後ろの、花壇の前。
あたしはその目の強さに、最初男の子だと思った。
でもその子が目をそらしてきびすを返したとき、ポニーテールがゆれた。
それが倉田涼夏(左嶋蒼)との、最初の出会いだった。

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走る中でまわりはじめる、少女達のものがたり。
彼女の目には、何が映るのか。